任意整理について

弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所の
任意整理についてご説明します

1 任意整理とは

任意整理とは、弁護士が債務者の代理人として債権者との間に入って、借金の額について交渉することをいいます。簡単に言うと、債権者との債務金額の減額交渉です。
任意整理は、裁判所を介さず、債権者との直接の交渉で借金を減額した上で、多くは3年間から5年間で分割払いするというものです。

2 任意整理のメリット

  1. 債権者からの取立てを排除できる
    弁護士にご依頼いただいたら、即座に債権者に対し受任通知をお送りします。それにより、債権者の債務者に対する直接の取立てはストップします。
  2. 将来の利息カット
    任意整理の場合、弁護士が入った時点もしくは合意が成立した時点以降は、利息をカットしてもらうよう交渉を行います。
  3. 債権者からの借入れの元本自体の減額
    債務者が、利息制限法以上の利息を支払っていた場合には、適法な利息で引き直して計算することによって、元本の減額も可能となります。
  4. 破産と異なり職業上の制限は生じない
  5. 官報に掲載されない
  6. 持ち家が処分されない

3 任意整理のデメリット

  1. 任意整理をする場合も、信用情報にその旨記載されてしまうため、5年から7年程度借金をすることが出来なくなります。
  2. 借金は減額されるものの、なくなるわけではない。

4 破産との違い

上述のとおり、任意整理は、借金を減額した上で、3年から5年ほどかけてそれを返済するというものです。破産との違いは以下のとおりです。

破産と任意整理
  破産 任意整理
原本の取り扱い 全て免除 利息を18パーセントに計算しなおして減額する(100万円以上の場合は15パーセント)
職業制限 あり なし
持ち家 処分される 処分されない
官報への掲載 あり なし
ブラックリストへの登録 あり あり

5 任意整理をすべき人

任意整理は、破産と異なり大部分の債務を債務者が弁済することが前提となります。そのため、「借金を返したい」という気持ちを持っている人に適しています。ただし、気持ちだけではなく、実際に返せる収入がないと任意整理をすることが出来ません。   

6 任意整理の返済方法

(1)返済の期間

基本的には、3年間から5年間の分割払いです。
ただし、長期の返済になるほど債権者の了解は厳しくなり、実際の収入状況や家族構成、これまでの取引経過等を踏まえて判断されることになります。

(2)返済額

交渉がうまくいけば、弁護士が受任するまでの利息額で和解できることもあります。
もっとも、弁護士が受任した後も利息がつく可能性は、非常に高いです。
さらに、近年は、和解が成立した後であっても利息をとる債権者が多くいます。
そのため、時間が経過するほど、任意整理は困難になっていきます。任意整理を考えている場合には、早期にご相談いただくのが必須となります。

(3)返済方法

①弁護士から債権者に対して送金する送金代行という方法と、②和解成立後に債務者が債権者に対して直接振込送金する方法の2種類があります。

7 債権者の対応

(1)債権者による差押えについて

任意整理手続きを開始したにも関わらず、給料等を差し押さえた債権者について、不法行為責任を認めた裁判例があります。
このような裁判例があるため、任意整理手続開始後に、債権者が、債務者の財産を差し押さえることは多くはありませんが、差押えをしてくる債権者もいます。
弁護士に依頼した後も、早急に返済計画を検討し、債権者と和解することが必要になります。

(2)過払金返還請求の可能性

債務者による弁済期間が長期に及んでいた場合、利息制限法の利息に引き直したとき、過払い金が生じる場合も出てきます。この場合、債務者は、債権者に対して過払金の支払請求をする必要があります。

8 よくある質問

(1)住宅ローンがある場合はどうなりますか?

任意整理は、破産と異なり、家は処分されません。
しかし、住宅ローンは、当然任意整理で決まった月々の返済とは別に返済を続ける必要があります。また、住宅ローンは利息制限法に違反しているわけではないため、減額することは困難です。そのため、住宅ローンの支払いができなかった場合には、債権者によって住宅が処分されてしまう危険性があります。

(2)和解が成立した後の支払いはどのようにしますか?

債権者が指定した口座に、債務者が直接入金することになります。
また、収入が多い月に、多く支払うことも可能です。

(3)任意整理でもブラックリストに載ってしまいますか?

JICCやCIC等の信用情報機構に事故情報として記載されることを、ブラックリストに載ると言います。
任意整理は、裁判所を利用する手続きではないですが、1社でも任意整理をすると、ブラックリストに掲載されることになります。

(4)アルバイトでも任意整理できますか?

安定収入があれば任意整理は可能です。そのため、無職の場合、任意整理をすることはできません。

(5)保証人がいる場合に、任意整理をすることできますか?

保証人がいる場合に任意整理をすると、債権者は保証人に対して請求をすることになります。そのため、保証人に迷惑をかけたくない場合には、保証人が付いている債権者に対しては任意整理をしないという方法を選びます。